目次: OpenOCD
SiFiveのHiFive1というボード(SiFiveのサイトへのリンク)をデバッグするときは、HiFive1のオンボードUSB-JTAGを使うことが多いと思います。
非常に便利ですがUSB接続ゆえに近くにPCが必要です。PCを作業机の横に置けば何の問題もないんですけど、我が家の場合は諸事情でちょっと困った配置になっています。
PCを作業机の横に持ってくる手も考えましたが、悪あがきとしてRaspberry Pi 3でOpenOCDを実行してサーバー代わりにしてみました。結果から言うと、思っていたよりうまく動いてくれました。嬉しい、Raspberry Pi偉い。
各機器の接続関係はこんな感じです。各ソフトに改造は不要です。GDBのTCP経由でデバッグできる機能と、OpenOCDのGDB serverとして振る舞う機能の合わせ技で実現できます。
(通常) PCのGDB <-(TCP local接続)-> PCのOpenOCD <-(USB)-> HiFive1 (今回) PCのGDB <-(TCP接続)-> Raspberry Pi 3のOpenOCD <-(USB)-> HiFive1
こんな変な使い方まで想定内とは驚きです。GDBもOpenOCDも良くできています。
Raspberry Pi 3ではOpenOCDを実行します。
$ ./src/openocd -c 'bindto 0.0.0.0' -f tcl/interface/jlink.cfg -f ./tcl/board/sifive-hifive1-revb.cfg Open On-Chip Debugger 0.11.0+dev-00551-gaad871805 (2022-01-16-22:30) Licensed under GNU GPL v2 For bug reports, read http://openocd.org/doc/doxygen/bugs.html Warn : Interface already configured, ignoring Info : J-Link OB-K22-SiFive compiled Nov 22 2019 12:57:38 Info : Hardware version: 1.00 Info : VTarget = 3.300 V Info : clock speed 4000 kHz Info : JTAG tap: riscv.cpu tap/device found: 0x20000913 (mfg: 0x489 (SiFive Inc), part: 0x0000, ver: 0x2) Info : datacount=1 progbufsize=16 Info : Disabling abstract command reads from CSRs. Info : Examined RISC-V core; found 1 harts Info : hart 0: XLEN=32, misa=0x40101105 Info : starting gdb server for riscv.cpu.0 on 3333 Info : Listening on port 3333 for gdb connections Info : Found flash device 'issi is25lp032' (ID 0x0016609d) Ready for Remote Connections Info : Listening on port 6666 for tcl connections Info : Listening on port 4444 for telnet connections Info : JTAG tap: riscv.cpu tap/device found: 0x20000913 (mfg: 0x489 (SiFive Inc), part: 0x0000, ver: 0x2) Warn : keep_alive() was not invoked in the 1000 ms timelimit. GDB alive packet not sent! (1606 ms). Workaround: increase "set remotetimeout" in GDB Info : JTAG tap: riscv.cpu tap/device found: 0x20000913 (mfg: 0x489 (SiFive Inc), part: 0x0000, ver: 0x2) Warn : keep_alive() was not invoked in the 1000 ms timelimit. GDB alive packet not sent! (1523 ms). Workaround: increase "set remotetimeout" in GDB Info : JTAG tap: riscv.cpu tap/device found: 0x20000913 (mfg: 0x489 (SiFive Inc), part: 0x0000, ver: 0x2) Warn : keep_alive() was not invoked in the 1000 ms timelimit. GDB alive packet not sent! (1599 ms). Workaround: increase "set remotetimeout" in GDB Info : JTAG tap: riscv.cpu tap/device found: 0x20000913 (mfg: 0x489 (SiFive Inc), part: 0x0000, ver: 0x2) Warn : keep_alive() was not invoked in the 1000 ms timelimit. GDB alive packet not sent! (1610 ms). Workaround: increase "set remotetimeout" in GDB Warn : Error writing to GDB socket. Dropping the connection. Info : dropped 'gdb' connection Info : accepting 'gdb' connection on tcp/3333 Info : JTAG tap: riscv.cpu tap/device found: 0x20000913 (mfg: 0x489 (SiFive Inc), part: 0x0000, ver: 0x2) Warn : keep_alive() was not invoked in the 1000 ms timelimit. GDB alive packet not sent! (1614 ms). Workaround: increase "set remotetimeout" in GDB
PC側からmonitor resetを実行すると「1,000ms以内に返事が来ない!タイムアウトしたぞ!」というWarningログが頻発します。HiFive1の反応が遅いのか、Raspberry Pi 3の判断が遅いのか、どちらかよくわかりません。両方かな……?
PCではGDBを実行します。例ではZephyrのバイナリを送っていますが、Zephyr以外でも手順は同じです。
$ riscv64-zephyr-elf-gdb build/zephyr/zephyr.elf GNU gdb (crosstool-NG 1.24.0.378_e011758) 9.2 Copyright (C) 2020 Free Software Foundation, Inc. License GPLv3+: GNU GPL version 3 or later <http://gnu.org/licenses/gpl.html> This is free software: you are free to change and redistribute it. There is NO WARRANTY, to the extent permitted by law. Type "show copying" and "show warranty" for details. This GDB was configured as "--host=x86_64-build_pc-linux-gnu --target=riscv64-zephyr-elf". Type "show configuration" for configuration details. For bug reporting instructions, please see: <http://www.gnu.org/software/gdb/bugs/>. Find the GDB manual and other documentation resources online at: <http://www.gnu.org/software/gdb/documentation/>. For help, type "help". Type "apropos word" to search for commands related to "word"... Reading symbols from build/zephyr/zephyr.elf... (gdb) target remote 192.168.1.106:3333 Remote debugging using 192.168.1.106:3333 0x00001004 in ?? () (gdb) monitor reset halt JTAG tap: riscv.cpu tap/device found: 0x20000913 (mfg: 0x489 (SiFive Inc), part: 0x0000, ver: 0x2) keep_alive() was not invoked in the 1000 ms timelimit. GDB alive packet not sent! (1615 ms). Workaround: increase "set remotetimeout" in GDB
GDBもタイムアウトがどうのこうのと怒っています。特に異常動作はしないので放っておいても良いですけど、邪魔であればメッセージのおススメ通りにset remotetimeoutの値を伸ばすと良いでしょう。
基本的には以上です動きました良かったね!で終わりなんですけど、Raspberry Pi 3のdmesgを見ていたら見慣れないエラーが出ていたのでメモしておきます。
[ 253.885123] usb 1-1.5: new full-speed USB device number 6 using dwc_otg [ 254.021413] usb 1-1.5: New USB device found, idVendor=1366, idProduct=1051, bcdDevice= 1.00 [ 254.021440] usb 1-1.5: New USB device strings: Mfr=1, Product=2, SerialNumber=3 [ 254.021475] usb 1-1.5: Product: J-Link [ 254.021490] usb 1-1.5: Manufacturer: SEGGER [ 254.021505] usb 1-1.5: SerialNumber: 000979016829 [ 254.023795] cdc_acm 1-1.5:1.0: ttyACM0: USB ACM device [ 254.027758] cdc_acm 1-1.5:1.2: ttyACM1: USB ACM device [ 254.031278] usb-storage 1-1.5:1.5: USB Mass Storage device detected [ 254.032081] scsi host0: usb-storage 1-1.5:1.5 [ 254.875197] Under-voltage detected! (0x00050005) ★★★★これと★★★★ [ 255.037642] scsi 0:0:0:0: Direct-Access SEGGER MSD Volume 1.00 PQ: 0 ANSI: 4 [ 255.038948] sd 0:0:0:0: Attached scsi generic sg0 type 0 [ 255.043115] sd 0:0:0:0: [sda] 21829 512-byte logical blocks: (11.2 MB/10.7 MiB) [ 255.052887] sd 0:0:0:0: [sda] Write Protect is off [ 255.052914] sd 0:0:0:0: [sda] Mode Sense: 0b 00 00 08 [ 255.055179] sd 0:0:0:0: [sda] No Caching mode page found [ 255.055202] sd 0:0:0:0: [sda] Assuming drive cache: write through [ 255.148361] sda: [ 255.166356] sd 0:0:0:0: [sda] Attached SCSI removable disk [ 259.035120] Voltage normalised (0x00000000) ★★★★これ★★★★
このエラーはRaspberry Pi 3とHiFive1のUSB端子を接続したときに出現します(私の環境だと接続のたびに必ず発生)。電力供給ラインであるUSBのVBus端子電圧が下がっているという意味ですかねえ……?可能性としてはHiFive1が起動時だけ一気に大電力を消費することが考えられますが、深追いしておらず真相はわかりません。
正月、北海道から帰ってきて車の様子を見たら、完全にバッテリーが上がっていました。気づいたのはちょっと前(2022年1月10日の日記参照)くらいです。セルモーターは微塵も動かず、そもそもリモコンキーも効きません。ドアはカギで開けました。ドアを開けても室内灯すら点きませんね……。
今まで何度となくバッテリーをダメにしてきた悲しい経験から、これはバッテリー交換コースだと確信しました。またかよー。
JAFに来てもらう間、暇だったのでバッテリーの電圧を測りました。電圧は2.16Vでした。これは乾電池でしたっけ??正常な車のバッテリーは12V前後(セル電圧2V程度x6セル)であり、放電終止電圧は10V前後(セル電圧1.8V程度x6セル)です。2.16Vがいかに論外な状態であるか、おわかりいただけるかと思います。
バッテリーから流れる電流も測りました。電流はほぼ流れていないか、クランプメーターの検出限界以下と思われます。余談ですが、このクランプメーターはゼロ点が狂ってきたようで、何も繋がず、ゼロ点補正なしだと -0.31Aになってしまいます。直し方がわからない。
JAFさんにエンジンかけてもらった後に電流を測りました。やはり電流はほぼ流れておらず、充電されているように見えません。バッテリーが死んでいるのか、エンジン始動直後のせいか?どっちでしょうね?
バッテリーの液量インジケーターは元々どうなっていたのかわからなくて、正常か異常か判別できませんでした。
仮に液量が正常でも、過放電でサルフェーション現象が発生して電極が死んでいる(=充電ができない=次止めたらエンジンが掛からない)でしょうから、素直にバッテリー交換に行きますか。
近所のイエローハットまで20分くらい走って、エンジンを切ってみたところ、電圧は11.8Vとなっていました。ん?充電されている?もしかしてバッテリーは生きてたのかな?
このまま帰ってまたバッテリーが上がったり、旅先で立ち往生されるのは困るため、潔くバッテリーを交換しました。当たり前ですが交換後は12.6Vと元気な電圧になっていました。
バッテリーは今載っているものと全く同じものを買いました。特に変更する理由もないし。はー、こんなことで35,000円の出費は痛いな……。
メーターを見ると、エラーEr IUが出てました。なんじゃろ?これ??
Facebookで会社の皆さまに教えていただいたところ、統合ユニットの通信エラーが発生したときに記録されるエラーとのこと。ずっと出続けていて気になりますけど、普通に走れて実害もなさそうなので、しばし放っておこうと思います。
目次: RISC-V
昨年、秋月で買って放置していた、怪しい中華製のSPI接続ディスプレイ(MSP2807)がやっと動きました。制御用のホストとしてSiFive HiFive1を使いました。OSはZephyrというRTOSを使っています。
HiFive1ではLinuxが動かないのも理由の一つではありますが、SPIの制御だけならZephyrがちょうど良い規模感でしょう。大掛かりなアプリを動かしたければ、別のハード(HiFive1はRAMがたった16KBしかない!)とLinuxを持ってきた方が良いでしょう。
SiFive HiFive1(黒い方)とSPI接続ディスプレイMSP2807(赤い方)
写真のとおり、画面が点灯して書き換えもできた(青と緑の縞模様を描いている)ので、リセット、コマンドとデータは送れているようです。ホスト → ディスプレイの接続は合っていると思われます。
しかし、ディスプレイ側から何か読み出そうとするとALL 0になり何も読めません。ホスト ← ディスプレイの接続をどこかで間違えているのかな……??未だに理由がわからず直せないままです。
このディスプレイはILITEK ILI9341という液晶のドライバーICを使っています。ホストとの接続は何パターンか存在するのですが、
が全く書いていないため、どのモードで動いているのか良くわかりません。イケてねえなあ。おそらく4-wireモード(SPI + コマンドかデータか示すGPIO 1つ)だと思われますが、確かめようがないです……。
メモ: 技術系の話はFacebookから転記しておくことにした。加筆。
我が家の圧力鍋は圧力切り替え式でゲージ圧(大気圧 = 0kPaとする記法)で「低圧60kPa」「高圧100kPa」となっています。なぜこの数字なんでしょう?
正直に言って設定の意味を理解していなかったんですが、昨日の日記で飽和水蒸気圧曲線(添付の写真、Wagnerの式から導出)を見ていて、設定の意味に気付きました。
グラフの圧力軸はゲージ圧ではなく、絶対圧です。沸点は大気圧を100kPaとして、ゲージ圧+100kPaで概算しました。
これはもう見たままですね。10℃刻みです。とてもわかりやすいですね。ゲージ圧150〜160kPa(絶対圧250〜260kPa)の鍋もありますが、さらに上の約130℃設定(実際は127℃くらいか)を意味します。
調理器具ですから、温度は切り良く、覚えやすく、メーカーが作りやすい設定値を選んでいるはずです。当然と言えましょう。
こんなにわかりやすく考慮してくれているにも関わらず、当のユーザーたる俺ときたら……。全く設定の意味を理解せずに「常に高圧の一択」ですからね。メーカーの設計者は泣いてしまいますね。
メモ: 技術系の話はFacebookから転記しておくことにした。一部加筆。
ハチミツ入りの飴を食べていたら、パッケージに
「はちみつを使用していますので1歳未満の乳児には食べさせないでください。」
と警告があることに気づきました。ハチミツを乳児に与えてはいけないのは、比較的有名な話(ハチミツによる乳児のボツリヌス症 - 消費者庁)だと思います。飴の形に加工されていてもやはりダメなのでしょうか?
乳児ボツリヌス症の原因はハチミツに含まれるボツリヌス菌の芽胞です。ボツリヌス菌「食品衛生の窓」 - 東京都福祉保健局によると、ボツリヌス菌の芽胞は熱に強く、殺菌には120℃4分間の加熱処理が必要です。
ハチミツ入りの飴の話に戻ると、
なるほど、殺菌するタイミングがなさそうです……。
通常の鍋では、水の沸点(100℃)を超える加熱処理は不可能ですが、圧力鍋を使った場合はどうでしょう?我が家の圧力鍋、パール金属H-3551(メーカーサイトへのリンク)をみると、高圧側100kPa、低圧側60kPaとあります。
120℃ の飽和水蒸気圧は198.7kPaのため、大気圧+100kPa = 約200kPaとすると、沸点は120℃まで達します。したがって圧力鍋のロックピンが上がり、圧力が規定値に達したときから、4分間以上加熱することで「一般のご家庭でもボツリヌス菌の芽胞は倒せる」と思われます。やるじゃないか、圧力鍋さん。
とはいえ圧力が必ず200kPaまで達する保証はありませんし、そもそも圧力鍋は殺菌装置ではないので、過信は禁物です。加熱後はちゃんと冷蔵して早めに食べましょう。
圧力鍋が凄いことはわかりましたけど、飴を圧力鍋で煮込むわけにはいきませんから、やっぱりハチミツ入りの飴を乳児にあげてはいけません。
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