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2020年10月31日

FreeRTOSで遊ぼう その5 - FreeRTOSのパッチ投稿の経過

目次: FreeRTOS

FreeRTOSへ送ったPull Requestにレビューコメントが来ました。確かPull Requestは9/14に送ったので1か月半くらい経ってます。FreeRTOSはのんびり屋さんですね。

あまりにも昔なので、送ったことを忘れかけていましたが、せっかくレビューしていただきましたし、内容を思い出しつつ、指摘事項を全て修正して再送しました。

ただ残念ながらFreeRTOSはSMPに対応していないのがわかったときから、あんまり興味がなくなっちゃったんですよね……。

世の中にはSMP対応の派生コード(Xtensa用 by Cadence, Tensilica)、SMPではないマルチコア対応の派生コード(Kendryte用 by Canaan Inc.)もありますが、本家がマルチコア化に全く手を出していないところを見ると、FreeRTOSは質素が売りなんでしょうね。

編集者:すずき(2023/09/24 08:52)

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2020年10月26日

ROCKPro64のI2Sクロックとピン制御

目次: ROCK64/ROCKPro64

ROCKPro64でI2S0を無効にすると、なぜか無関係なはずのアナログオーディオ(I2S1)が鳴らなくなる、謎の挙動を示します。原因を調べてみると搭載SoCであるRockchip RK3399の不思議な設計が原因でした。

I2Sは大まかにいうと4種類の信号を使います。

MCLK
マスタークロック。DACなどを駆動させるためのクロックです。LRCKの2のべき乗倍を要求されることが多いです。典型的な倍率は128, 256, 384, 512など。
SCLK
システムクロック。I2Sデータの1ビットを表すクロックで、LRCKの64倍です。
LRCK
LRクロック。I2Sデータフレームのビットが、LチャネルまたはRチャネルのどちらに属するかを示すクロックです。クロック周波数=サンプリング周波数です。
DATA
データ。I2S, Left Justify, Right Justifyなどエンコーディングの方法は何通りかあります。

SoC(RK3399)の仕様

RK3399の仕様をみるとMCLKの出力(RK3399のピン名だとI2S_CLK)をI2S0とI2S1で共用しています。普通、MCLKはI2Sに流す信号によって周波数が変わりますから、共用はしません。できる場合もありますが限定的です。

I2Sのハードとしては性能は等価に見えます。ただしSoCのピン設定の仕様を見る限りでは、I2S0は8ch出力まで可能、I2S1は2ch出力のみ可能です。

ボード(ROCKPro64)の仕様

I2S0はRaspberryPi互換ピンヘッダに出力されていますが、MCLKは出力されていない不思議な構成です。MCLKがなくても動くDACはあるのでしょうか……?

I2S1はEverest ES8316というDACに接続され、アナログオーディオIn/Outを実現しています。I2S_CLKはI2S1用、つまりES8316のMCLKに接続されています。

ROCKPro64の仕様としては、I2S0は遊ばせていて、I2S1はアナログオーディオ用に接続している、と考えれば、特に違和感はない構成です。

OS(linux-next)の仕様

Device Treeを見ると、I2S_CLKはI2S0の有効、無効の設定に連動して、出力ピンが制御されるように実装されています。

しかし先ほども言った通りROCKPro64の場合は、I2S_CLKはI2S1のために使われているので、この設定はボードの配線と合っていません。

直し方としては、I2S_CLKをI2S0に連動させる設定(既に存在する)に加えて、I2S_CLKをI2S1に連動させる設定を加えて、ボード側でピン設定を選ぶようにすると直せそうです。Device Tree内のピン設定がやたら増えるのは難点ですが、RK3399の仕様に由来するので仕方ないですね。

編集者:すずき(2020/11/04 08:58)

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2020年10月25日

算数の問題

Twitterでこんな問題(リンク)を見かけたので、やってみました。緑色の図形の面積を求めよ、という問題です。


問題

算数で解く=方程式やルートを使わない、という意味だと理解し、図形の合同性だけで解いてみます。


解答例

こんな感じで答えは4です。小学生にも解ける問題といえばそうなんでしょうけど、自分が小学生だったころに解けただろうか、と考えるとどうだろうね?

編集者:すずき(2020/10/29 23:51)

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2020年10月23日

ROCK64/ROCKPro64 - まとめリンク

目次: ROCK64/ROCKPro64

ROCK64

ROCK64ブート周りの話のまとめ。

ROCK64オーディオ周りの話のまとめ。

ROCKPro64

ROCKPro64シリアル文字化けの話のまとめ。

ROCKPro64オーディオの話のまとめ。

ROCKPro64のその他の話のまとめ。

ARM関連の話。

編集者:すずき(2024/01/13 17:20)

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2020年10月21日

テスラはバッテリーも作ります

【速報】テスラ「バッテリー・デー」のポイントを解説 - EVsmartブログ を読んで。

約1か月前のニュースですが「電池は自分で作るんで!さよなら!!」と鮮やかにポイ捨てされたパナソニックさん。

一緒に5000億の工場(ギガファクトリー1)を作り始めた(※1)かと思いきや、投資回収どころか、工場完成してないのに縁切り宣言を始める辺り、テスラは気が短すぎます。この決断スピードには、パナソニックはとても付いていけないでしょう。

今だから思いますが、ギガファクトリー1はうまく(?)できていて、セル:パナソニック、アセンブリ:テスラの分担となっていますので、テスラは離脱してもほぼ損害がありません。テスラは最初からバッテリー自社生産を狙っていたのでは?とすら感じます。

いずれにせよ困るのはパナソニックで、テスラに離脱されると、大量の2170セル生産能力が余ります(※2)。18650に転換してもテスラ並みの需要を持つ顧客はいるでしょうか?

(※1)ギガファクトリー1は合弁で建てているので、パナソニックとテスラの負担割合はわかりません。さすがにゼロってことはないでしょう。

(※2)ギガファクトリー1は、テスラ専用の2170(直径21mm x高さ70mm)という微妙にでかいバッテリーセルを作っており、標準的な18650(18mm x 65.0mm)セル使う機器には使いまわし効かないように見えます。

三洋に続くパナソニック爆死案件なのか?

5年位前にギガファクトリー1のニュースを見たときは「テスラと組むなんて、パナソニックも変わったなあ〜」なんて感動しました。パナソニックの社運を賭けた投資、なんてニュースも目にしたものです。

ぼーっとしているとテスラに置いて行かれ、数年後にはギガファクトリー1が、パナソニックの大型失敗案件、砺波CCD(1000億)、尼崎プラズマ(4000億?)、三洋合併(6000億円?)にランクインしてしまいそうです。

完全にテスラに寄りかかって、何も考えてないパナソニックが悪い、ダシにされて当然だろ?っていわれたら、何も言い返せないですが、さすがに合弁作ってハイさようならは、ご無体すぎて可哀想ですね……。

メモ: 技術系の話はFacebookから転記しておくことにした。加筆修正。

編集者:すずき(2020/11/01 18:03)

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2020年10月18日

Zephyr OSで遊ぼう その27 - SMP対応、デグレードの修正

目次: Zephyr

前回はリグレッションテストの実行環境を整備しました。今回はリグレッションテストで見つけたバグを修正します。

バグその1、割り込みハンドラ判定関数

テストtests/kernel/smp/kernel.multiprocessing.smpが失敗しています。

リグレッションテストのエラー、arch_is_in_isr()
ASSERTION FAIL [!arch_is_in_isr()] @ ZEPHYR_BASE/kernel/sched.c:1209

テスト対象のarch_is_in_isr() の実装を見ると、シングルコアを前提とした実装になっています。

割り込みハンドラ判定関数の修正

// zephyr/arch/riscv/include/kernel_arch_func.h

static inline bool arch_is_in_isr(void)
{
	return _kernel.cpus[0].nested != 0U;    //★シングルコア前提になっている★
}


// (修正後)

static inline bool arch_is_in_isr(void)
{
	return arch_curr_cpu()->nested != 0U;
}

直し方はarch_curr_cpu() に置き換えるだけで良さそうです。

バグその2、IPIのテスト用コンフィグへの対応

他のテストではsched_ipi_has_calledが0のままらしく、怒られています。

リグレッションテストのエラー、sched_ipi_has_called
Assertion failed at ZEPHYR_BASE/tests/kernel/smp/src/main.c:602: test_smp_ipi: (sched_ipi_has_called != 0 is false)

テスト対象のsched_ipi_has_calledをカウントアップする処理は下記のとおりです。

sched_ipi_has_calledの実装箇所

// zephyr/kernel/sched.c

#ifdef CONFIG_SMP
void z_sched_ipi(void)
{
	/* NOTE: When adding code to this, make sure this is called
	 * at appropriate location when !CONFIG_SCHED_IPI_SUPPORTED.
	 */
#ifdef CONFIG_TRACE_SCHED_IPI
	z_trace_sched_ipi();
#endif
}


// zephyr/tests/kernel/smp/src/main.c

#ifdef CONFIG_TRACE_SCHED_IPI
/* global variable for testing send IPI */
static volatile int sched_ipi_has_called;

void z_trace_sched_ipi(void)
{
	sched_ipi_has_called++;
}

コンフィグCONFIG_TRACE_SCHED_IPIが有効になっているときは、カーネルがz_trace_sched_ipi() を呼び出します。テストではCONFIG_TRACE_SCHED_IPIを有効にするとともに、この関数を定義して、カーネルから正常にコールバックされるかどうかを見ているようです。

以前(2020年10月16日の日記参照)、IPIのハンドラを実装した際にコメントアウトしてくれ、と言っていた部分がありました。あの部分が役に立ちます。

IPIハンドラからz_sched_ipi() を呼ぶ

// zephyr/drivers/timer/riscv_machine_timer.c

#ifdef CONFIG_SMP
void z_riscv_sched_ipi(void);

static void soft_isr(const void *arg)
{
	volatile uint32_t *r = (uint32_t *)RISCV_MSIP;

	ARG_UNUSED(arg);

	*r = 0;
	z_riscv_sched_ipi();    //★この行を足す★
}
#endif


// zephyr/arch/riscv/core/cpu_smp.c

#ifdef CONFIG_SMP
void z_riscv_sched_ipi(void)
{
	z_sched_ipi();
}
#endif

本当は直接z_sched_ipi() を呼べば良いんですが、drivers以下のソースコードからはz_sched_ipi() を呼ばない方が良さそう(関数プロトタイプが見えない)だったので、arch/riscvを経由させる変な実装になっています。どう実装するのが正しいんでしょうねえ?

これでSMP系のテストを通過しました。良かった良かった。

編集者:すずき(2023/09/24 12:11)

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