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2019年4月18日

LinuxのDMAとキャッシュフラッシュ

目次: Linux

昨今のキャッシュを持ったCPUでは、DMAを行う際にCPUのキャッシュのフラッシュ(ダーティデータをメインメモリに書きだす、パージともいう)やインバリデート(キャッシュから消しさる、クリーンともいう)が必須です。

しかしアーキテクチャやCPUの実装によってキャッシュの操作方法は異なるため、LinuxではDMA APIというレイヤでアーキテクチャの差分を隠蔽しています。

LinuxでDMAを行うドライバを書くときの一番単純な作法(=単一の領域にDMAを行う、スキャッターギャザーなどはしない)は、

dma_alloc
バッファ確保
dma_map_single
バッファをCPUのメモリ空間にマップし、CPUから見えるようにする
dma_sync_single_for_cpu
CPUからバッファをアクセスする準備
CPUからバッファにデータを書き込む
dma_sync_single_for_device
デバイスからバッファをアクセスする準備
デバイスからDMAを行いデータを読み込む
dma_unmap_single
バッファのマップをやめる
dma_free
バッファ解放

ざっくりいってこのような感じです。先ほど述べた通り、LinuxのDMA APIにキャッシュのフラッシュやインバリデート関数はありません。ハード依存の操作をなるべく減らし、多数のアーキテクチャに対応しやすくなっているんですね。

実際はいつフラッシュしているのか?

そうはいっても、実際にどこでキャッシュフラッシュしているか、気になると思います。昔、Linux 4.4を調べた情報を引っ張り出してきました。アーキテクチャはAArch64つまり64bitのARMコアです。

AArch64の場合、キャッシュ操作をしているのはdma_sync_single_for_cpu() とdma_sync_single_for_device() です。前者がインバリデート、後者がフラッシュ+インバリデートを行っています。

前者のdma_sync_single_for_cpu() を追いかけてみると、

dma_sync_single_for_cpu()
関数ポインタ経由でops->sync_single_for_cpu() を呼びます。AArch64の場合opsには通常 swiotlbのDMA操作関数が入っています。ですので __swiotlb_sync_single_for_cpu() が呼ばれます
__swiotlb_sync_single_for_cpu()
コヒーレントバッファでない(キャッシュフラッシュがいる)場合 __dma_unmap_area() を呼びます
__dma_unmap_area()
__dma_inv_range() を呼びます
__dma_inv_range()
キャッシュをインバリデートします

こんな感じですね。しつこいですがAArch64の実装を見ただけですので、将来的に変わるかもしれないし、他のアーキテクチャでは仕組みが違います。

直接フラッシュしたがるおじさん

昔のLinuxではキャッシュ操作関数をドライバから使うことができました。その記憶からなのか、たまにフラッシュやインバリデートのようなアーキテクチャ依存の操作を直接呼びたがる人がいます。

今のLinuxではキャッシュ操作関数は当然ありますが、ドライバからは呼べない、つまり呼ぶことを推奨していません。もちろんオープンソースなので改造すれば何でもできますけど、メンテナンス性や再利用性、移植性を下げるだけで、損しかないでしょう。

編集者:すずき(2023/04/29 21:39)

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2019年4月13日

レジスタダンプ、書き換えツールmemaccess - ちょっと修正

先日(2019年3月24日の日記参照)作ったmemaccess(GitHubへのリンク)細かい部分が色々バグっていたので直しました。

  • 32bit環境でビルドできない
  • ビルド時にlibtoolを要求する(本来は要らない)
  • 0x80000000_00000000以上のアドレスを指定すると0x7fffffff_ffffffffになってしまう
  • 32bitを超える値を書き込めない

アドレスの指定は文句なしで64bit符号なし整数にしましたが、書き込む値については64bitの符号つき整数(今はこっち)と64bitの符号なし整数の、どっちが良いんでしょうね。贅沢を言えば、どちらも使いたいですけど。

編集者:すずき(2019/04/19 23:35)

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2019年4月12日

ぼやけるWindows

以前の日記(2019年3月17日の日記参照)で、Windows Updateのあとにウインドウのタイトルがズレてしまう話を書きました。

その際に同時に発生する画面がぼやけてしまう現象についてもスクリーンショットを取ったので載せておきます。


ボヤけている状態

このようにフォントがボヤけてしまいます。タスクマネージャの場合はあまり目立ちませんが、アプリケーションによってはさらに顕著です。


サインアウト、サインインしなおした状態

前回は「再起動で直る」と書きましたが、サインインしなおすだけでも直るようです。

ボヤける理由の予想

ざっくりいうと、Windows Updateがテキストサイズの拡大縮小設定を元に戻した後に、サインインしなおさないからじゃないか?と思っています。

Windows 10にはアプリケーションのテキストサイズを調整する機能があります。[Windowsの設定] -> [システム] -> [ディスプレイ] から設定できます。


拡大縮小設定を変更したときの警告文

設定変更すると一部のアプリは、サインアウトするまで、拡大縮小の設定に応答しません、という警告文が表示されます。

購入当初は125% の設定になっていました。初期値はディスプレイの物理的なサイズと解像度によって決まっているそうです。あと、私は拡大縮小の設定を「100%」に変更して使用しています。

以上から導いた私の予想ですが、

  • Windows Updateによって、テキストサイズの設定が初期値(125%)に戻る
  • Windows UpdateがPCを再起動する
  • アプリケーションがテキストサイズ125% で表示する
  • Windows Updateがユーザーが使っていたテキストサイズ設定(私の場合100%)に設定しなおす
  • サインアウトは行わないため、アプリケーションがついてこられずボヤけてしまう

こんな状態になっているのではないかと思っています。

編集者:すずき(2019/04/13 17:06)

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