目次: GCC
先日(2019年3月27日の日記参照)クロスビルド向けLLVMのビルド方法がわかったので、今度はクロスビルド向けGCCのツールチェーン(超基本的なbinutils + GCC + glibcの組み合わせ)を作ろうとしていますが、さっぱりうまくいかないです。
そもそもどのバージョンの組み合わせならビルドが通るのか全くわかりません……。対象となるクロス環境(ARM向けなのか、RISC-V向けなのか)と、ホスト側のコンパイラバージョンが影響するようで、昔ビルドが通っていた組み合わせを引っ張り出してきても、今の環境だとビルドが通らないなんてことがおきます。
ビルドできる組み合わせは頑張れば見つけられるとは思いますが、本来やりたいことはクロスビルド用のコンパイラのソースコードリポジトリをダウンロードし、自分でソースコードに何か変更を入れ、変更した内容も含めてビルドすることです(ダウンロードは最悪手動でも良いですけど)。
世の中にはクロスビルド用のツールチェーンを作成できるツールはいくつかありますが、いずれもtarballからのビルドを想定していて、改変を入れて再ビルドする方法が良くわかりません。
ツールが想定しているリリース用のビルドは、
開発用は、リリース用に加え、
が必要ですが、意外とできないです……。
いくつかツールを調べてみました。
ツールチェーン単体だとcrosstool-NGですし、将来的に追加するものを考えるとbuildrootが良さそうですけど。変更を反映して差分ビルドする方法ないのかな……??
目次: RISC-V
Linuxが動くくらいのRISC-VのSoC搭載ボードを探していたのですが、どうやらまだ市販されてなさそうでした……。
代わり(?)にSiFiveの高性能RISC-V SoCであるHiFive Unleashed(リンク)のマニュアルを眺めていました。
HiFive Unleashedは高性能と紹介されていることが多いですが、現状RISC-VはArduinoくらいの小規模SoCがほとんどで、それらと比較して高性能、と言っているのだと思われます。
特に珍しい機能もないですし、最近のテレビやタブレット向けの巨大なARM系SoCと比べると、どうしてもショボく見えてしまうのは仕方ないでしょう。
ああ、でもErrataの章があるのは珍しいかもしれません。
などの豪快なバグがある様子が伺えます。特にROCK-2のWorkaroundは全然Workaroundになっておらずのが面白いです。アクセス違反をするな、と言ってアクセス違反がなくなるならOSの苦労はないでしょ。かなり悲惨なバグです。
ボードには修正したSoCを載せるのか、バグったSoCを強引に搭載するのか、どちらなんでしょうね……。
メモ: 技術系の話はFacebookから転記しておくことにした。
目次: Linux
昨今のキャッシュを持ったCPUでは、DMAを行う際にCPUのキャッシュのフラッシュ(ダーティデータをメインメモリに書きだす、パージともいう)やインバリデート(キャッシュから消しさる、クリーンともいう)が必須です。
しかしアーキテクチャやCPUの実装によってキャッシュの操作方法は異なるため、LinuxではDMA APIというレイヤでアーキテクチャの差分を隠蔽しています。
LinuxでDMAを行うドライバを書くときの一番単純な作法(=単一の領域にDMAを行う、スキャッターギャザーなどはしない)は、
ざっくりいってこのような感じです。先ほど述べた通り、LinuxのDMA APIにキャッシュのフラッシュやインバリデート関数はありません。ハード依存の操作をなるべく減らし、多数のアーキテクチャに対応しやすくなっているんですね。
そうはいっても、実際にどこでキャッシュフラッシュしているか、気になると思います。昔、Linux 4.4を調べた情報を引っ張り出してきました。アーキテクチャはAArch64つまり64bitのARMコアです。
AArch64の場合、キャッシュ操作をしているのはdma_sync_single_for_cpu() とdma_sync_single_for_device() です。前者がインバリデート、後者がフラッシュ+インバリデートを行っています。
前者のdma_sync_single_for_cpu() を追いかけてみると、
こんな感じですね。しつこいですがAArch64の実装を見ただけですので、将来的に変わるかもしれないし、他のアーキテクチャでは仕組みが違います。
昔のLinuxではキャッシュ操作関数をドライバから使うことができました。その記憶からなのか、たまにフラッシュやインバリデートのようなアーキテクチャ依存の操作を直接呼びたがる人がいます。
今のLinuxではキャッシュ操作関数は当然ありますが、ドライバからは呼べない、つまり呼ぶことを推奨していません。もちろんオープンソースなので改造すれば何でもできますけど、メンテナンス性や再利用性、移植性を下げるだけで、損しかないでしょう。
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