Yoctoを使ったプロジェクトをビルドする際に、Gitプロトコルを使わないとアクセスできないリポジトリがあります。
Gitプロトコル(git:// から始まるURLのリポジトリ)は無害なんですけど、大抵の社内プロキシを越えられなくて苦労するので、越え方をメモしておきます。
まずGitのプロキシ設定を行います。この例ではgit-proxyというコマンドを使ってくれと指示しています。
git config --global --add core.gitProxy git-proxy
そんなコマンドはないので、自分で作ります。パスの通った場所、例えば ~/bin/git-proxyのようなファイルを作成して、下記のシェルスクリプトを書いておきます。
#!/bin/sh
exec socat STDIO PROXY:192.168.x.x:$1:$2,proxyport=8080
もちろん別途socatコマンドのインストールが必要です。Debianならapt-get install socatでインストールできます。
最初はnetcatでやってみたんですがダメでした。何でだろ?
目次: ROCK64/ROCKPro64
RK3288のGPLL系のクロック周波数が、49151999のようなおかしな値になってしまう問題も、追ってみたら意外と簡単だったのでパッチを作りました。取り込まれることを祈っておきましょう。
たぶん誰も興味が無いと思いますが、下記はRK3328 GPLL系のクロック周波数がおかしくなる問題の詳細です。
まずROCK64には24MHzの水晶が載っていて、RK3328のXIN24Mに入力されています。これがFREFになります。
PLL周波数は仕様書(RK3328 TRM)によると、
FOUTVCO = FREF / REFDIV * (FBDIV + FRAC / 224)
と書かれています。
しかしこれはおそらく誤記で正しくは、
FOUTVCO = FREF / REFDIV * (FBDIV + FRAC / 2^24)
だと思われます。
クロックドライバの実装も後者でしたし、hdkさんに教えてもらった他のRockchipの仕様書でも2^24になっていましたから、RK3328の仕様書にある224は2^24の誤記とみて問題ないでしょう。
最終的なPLL周波数は、
FOUTPOSTDIV = FOUTVCO / POSTDIV1 / POSTDIV2
となります。
REFDIV, FBDIV, POSTDIV1, POSTDIV2, FRACに設定される値は、クロックドライバで下記のように定義されています。
//drivers/clk/rockchip/clk-rk3328.c
static struct rockchip_pll_rate_table rk3328_pll_frac_rates[] = {
/* _mhz, _refdiv, _fbdiv, _postdiv1, _postdiv2, _dsmpd, _frac */
RK3036_PLL_RATE(1016064000, 3, 127, 1, 1, 0, 134217),
/* vco = 1016064000 */
RK3036_PLL_RATE(983040000, 24, 983, 1, 1, 0, 671088),
/* vco = 983040000 */
RK3036_PLL_RATE(491520000, 24, 983, 2, 1, 0, 671088),
/* vco = 983040000 */
RK3036_PLL_RATE(61440000, 6, 215, 7, 2, 0, 671088),
/* vco = 860156000 */
RK3036_PLL_RATE(56448000, 12, 451, 4, 4, 0, 9797894),
/* vco = 903168000 */
RK3036_PLL_RATE(40960000, 12, 409, 4, 5, 0, 10066329),
/* vco = 819200000 */
{ /* sentinel */ },
};
このコードの何がおかしいのかお見せするため、試しに先頭の行の値を使ってPLL周波数を計算してみます。PLL周波数の目標値であるrateは1016064000です。その他の設定値は、
です。この設定値に基づいて各設定値を計算してみると、
となってしまい、1足りない変な値になります。1足りない原因は2項目の計算結果が63999になってしまうことですから、直すにはfracの値を1増せば良いです。fracを134218にすると、
となって、めでたしめでたしです。
以上の解析結果に基づいてfracの値を1増やすパッチをLinux MLに送りました。英語がイマイチで、うまく説明できず、原始人のような「これ値違う、俺直す」になってしまっていますが……。
RockchipのアーキメンテナのHeikoさんは、コミットメッセージがあまりにもひどいと直してくれる(昔も修正されたことがある)みたいなので、そこに甘えておきます。原始人英語がそのまま取り込まれても別に構いませんし。
目次: ROCK64/ROCKPro64
RK3328のACODECパッチをALSA MLに送ったところ、すんなり取り込まれました。やった。作者が自分ではないドライバを投稿したのは初めてかもしれません。それでも取り込まれるんですね。
あと48kHz → 44.1kHz系に切り替えたときに音が出なくなってしまう病気の応急処置パッチも取り込まれました。素早く切り替えるとやっぱり音が鳴らなくなるんですが、これ以上追う手段が無いので(2018年12月19日の日記参照)諦めています。できればRockchipの中の人に直してほしいね…。
メモ: 技術系の話はFacebookから転記しておくことにした。
< | 2019 | > | ||||
<< | < | 01 | > | >> | ||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
- | - | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 | 31 | - | - |
合計:
本日: