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2018年8月26日

不思議なダメージ計算式

宇宙戦艦物語RPGというスマホのゲームをやっています。

攻略Wiki(サイトへのリンク)にダメージ計算式が載っていたので計算してみたのですが、微妙にゲーム中のダメージ値と一致しません。Wikiによると攻撃司令の加算値の計算は、

  • Lv 1〜100までは +1
  • Lv 101〜200までは +2
  • Lv 201〜300までは +3

とあります。その通りに足すと攻撃司令Lv 9999ならば、ダメージ補正値が504900になるはずです。

しかし適当な武器(702式発掘超合剣Lv 1313、攻撃力1100 + 28885)と、計算で求めたダメージ補正値を足しても、ゲーム側で出てくるダメージと一致しません。計算ではダメージは534885になるはずなのに、実際のダメージは534985です。100ほどズレてしまいます。

計算式を色々変えていてLvが100で割り切れるときの加算を変な値にすると、計算結果とゲーム側のダメージが一致することに気づきました。例えばLv 99 → 100のとき、加算は +1ないし +2が素直ですが、あえて +1と +2を両方加算した +3にします。

変な計算式ですが、あえてこの変な計算式で求めると、攻撃司令Lv 9999の場合、ダメージ補正値が100増えて505000になり、計算結果とゲーム側のダメージとも一致しました。変なの。ゲーム側の計算がバグってるように思えて仕方がない。

Excelが止まる

この加算値の計算はループでやればすぐできますが、Excelで計算を始めてしまったので、Excelで頑張ってみました。意外と面倒です。やり方はいろいろあると思いますが、私の場合は、

ループの代わりにMAX, MINで強引に求める

MAX(MIN(H2-   0,100),0)* 1+
MAX(MIN(H2-  99,100),0)* 2+
MAX(MIN(H2- 199,100),0)* 3+
MAX(MIN(H2- 299,100),0)* 4+
...

こんな風に99行書いて求めました。セルが編集できないくらい重いです。

100で割り切れるところがバグっているのか、別の法則が発動しているのか、正確なところは確かめていないのでわかりません。

きちんと確かめるなら、攻撃司令のLvを下げていってLv 9900を跨げばわかります。幸いにもこのゲームは、敵に防御力の概念が無い(?)ようで、誰に攻撃をぶつけても攻撃力=ダメージとなります。検証は簡単な部類だと思います。私はそこまでやっていませんけども……。

周回ゲー

宇宙戦艦物語RPGはどのように進めていても、いつかは必ず同じ面をグルグル何度も周回するゲームになります。それ自体は構わないのですが、ゲームバランスがマゾすぎます。

一番辛いのは「敵を〇〇体倒せ」系のLv上げで、多いステージでも1回に1500体しか敵が出ないのに、1つの艦種Lvカンストに9999 * 300体(= 300万体)倒さなきゃいけないことです。さらに良くないことに、艦種は23種類もあります。

私にはこのゲームを極めるのは無理そうです。

編集者:すずき(2018/08/31 01:27)

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2018年8月21日

エアコンがまた臭くなった

先日(2018年7月17日の日記参照)エアコンを16℃設定1時間で浄化運転し、見事に嫌な臭いが消え去りました。しかし最近エアコンが雑巾臭くなってしまいました。

今年の夏はかなりヘビーに使っているとはいえ、浄化した効果が1か月しか持たないとなると、浄化が必要な頻度はかなり高そうです。

次の休みにでも、また浄化してみるかなあ。電気代がどうこうより、16℃運転の負荷で室外機が壊れそうで、心配ですけどね。

設定温度と臭い

エアコンが臭くなった状態で、設定温度を26℃に下げるとエアコンの嫌な臭いは一時的に消えます。

しかし28℃設定に上げると、かなり嫌な臭いがします。27℃設定だと日によって違います。おそらくその日の気温依存だと思われます。

また、我が家のエアコンは、運転停止すると自動的に送風運転が始まります。送風運転はほぼ確実に嫌な臭いがします。

どうもエアコンの熱交換が働いているとき(気温が高いとき、設定温度が低いとき)はあまり臭いがせず、働いていないとき(運転停止後の送風、設定温度が高いとき)はかなり嫌な臭いがするみたいです。

編集者:すずき(2018/08/23 19:25)

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2018年8月20日

ROCK64のU-Bootスクリプトを読む

目次: ROCK64/ROCKPro64

先日(2018年7月23日の日記参照)ROCK64のU-Bootがdistro boot(U-Bootのdistro bootの説明)を使っていることはわかりましたが、もう少し具体的に調べておきます。

U-Bootは起動するとカウントダウンを始めます(Hit any key to stop autoboot... と表示される通り、何かキーを押すと止まります)。カウントが0になると、bootcmd環境変数に設定されたスクリプトを実行します。まずはそこから追います。

U-Boot起動、bootcmdと関連スクリプト
U-Boot 2017.09-g5aef9f7 (Oct 12 2017 - 09:11:39 +0000), Build: jenkins-linux-build-rock-64-136
   
Model: Pine64 Rock64
DRAM:  4 GiB
MMC:   rksdmmc@ff500000: 1, rksdmmc@ff520000: 0
*** Warning - bad CRC, using default environment
   
In:    serial@ff130000
Out:   serial@ff130000
Err:   serial@ff130000
Model: Pine64 Rock64
normal boot
Net:   eth0: ethernet@ff540000
Hit any key to stop autoboot:  0
=> 

=> print bootcmd
bootcmd=run distro_bootcmd

=> print distro_bootcmd
distro_bootcmd=for target in ${boot_targets}; do run bootcmd_${target}; done

=> print boot_targets
boot_targets=mmc0 mmc1 usb0 pxe dhcp

=> print bootcmd_mmc0
bootcmd_mmc0=setenv devnum 0; run mmc_boot
=> print bootcmd_mmc1
bootcmd_mmc1=setenv devnum 1; run mmc_boot

今回追いかける対象はSDカードからのブート(ROCK64の場合はmmc1として認識)ですので、mmc0, mmc1に注目します。bootcmd -> distro_bootcmd -> bootcmd_mmc1 -> mmc_bootと辿れます。ここまでは単純です。

mmc_boot
環境変数:
devnum=1

----------

=> print mmc_boot
mmc_boot=if mmc dev ${devnum}; then setenv devtype mmc; run scan_dev_for_boot_part; fi

----------

改行入れた版

if mmc dev ${devnum};
then
    setenv devtype mmc;
    run scan_dev_for_boot_part;
fi

----------

ifの条件式だけ実行した場合

=> mmc dev 0
Card did not respond to voltage select!    ★★★失敗する
mmc_init: -95, time 9

=> mmc dev 1
switch to partitions #0, OK    ★★★成功する
mmc1 is current device

このスクリプトはmmcデバイスを使えるかどうかチェックしています。devnum=1のときはmmc dev 1ですね。単独で実行するとわかりますが、このコマンドは成功し、デバイスが使用可能だとわかります。

デバイスが使用可能だとわかれば、scan_dev_for_boot_partを呼びます。

scan_dev_for_boot_part
環境変数:
devnum=1
devtype=mmc

----------

=> print scan_dev_for_boot_part
scan_dev_for_boot_part=part list ${devtype} ${devnum} -bootable devplist; env exists devplist || setenv devplist 1; for distro_bootpart in ${devplist}; do if fstype ${devtype} ${devnum}:${distro_bootpart} bootfstype; then run scan_dev_for_boot; fi; done

----------

改行入れた版

part list ${devtype} ${devnum} -bootable devplist;
env exists devplist || setenv devplist 1;
for distro_bootpart in ${devplist};
do
    if fstype ${devtype} ${devnum}:${distro_bootpart} bootfstype; then
        run scan_dev_for_boot;
    fi;
done

----------

最初の行

=> part list mmc 1 -bootable aaa    ★★★aaaは結果を格納する環境変数名(何を指定してもOK)
=> prin aaa
aaa=6                               ★★★boot可能パーティション番号が設定される

全部のパーティションを表示

=> part list mmc 1

Partition Map for MMC device 1  --   Partition Type: EFI

Part    Start LBA       End LBA         Name
        Attributes
        Type GUID
        Partition GUID
  1     0x00000040      0x00001f7f      "loader1"
        attrs:  0x0000000000000000
        type:   0fc63daf-8483-4772-8e79-3d69d8477de4
        guid:   9bdf460d-26ba-4f39-b43f-e8289847b709
  2     0x00001f80      0x00001fff      "reserved1"
        attrs:  0x0000000000000000
        type:   0fc63daf-8483-4772-8e79-3d69d8477de4
        guid:   50b5d36d-c009-4538-925e-a4ca3db6f3b9
  3     0x00002000      0x00003fff      "reserved2"
        attrs:  0x0000000000000000
        type:   0fc63daf-8483-4772-8e79-3d69d8477de4
        guid:   cbcf51cb-465b-47ee-a4ca-1c1ef59a8564
  4     0x00004000      0x00005fff      "loader2"
        attrs:  0x0000000000000000
        type:   0fc63daf-8483-4772-8e79-3d69d8477de4
        guid:   fd2b2a59-fb82-4e11-827b-2297cdb0b74f
  5     0x00006000      0x00007fff      "atf"
        attrs:  0x0000000000000000
        type:   0fc63daf-8483-4772-8e79-3d69d8477de4
        guid:   10194a7e-66c7-4340-a932-060295f19fba
  6     0x00008000      0x0003ffff      "boot"
        attrs:  0x0000000000000004                   ★★★6にboot可能フラグが存在
        type:   ebd0a0a2-b9e5-4433-87c0-68b6b72699c7
        guid:   dbb99d65-e937-46a9-b740-256da98658a0
  7     0x00040000      0x01cf7fde      "root"
        attrs:  0x0000000000000000
        type:   0fc63daf-8483-4772-8e79-3d69d8477de4
        guid:   55c58d2b-29ce-4c0d-bfec-414479e8ca46

----------

2行目

=> part list mmc 1 -bootable aaa
=> print aaa
aaa=6

=> env exists aaa || setenv aaa 1; ★★★左のコマンド結果が真のため、右のコマンドは実行されない
=> print aaa
aaa=6                              ★★★値は変わらない

=> setenv aaa                      ★★★環境変数を削除する
=> print aaa
## Error: "aaa" not defined

=> env exists aaa || setenv aaa 1; ★★★左のコマンド結果が偽のため、右のコマンドが実行される
=> print aaa
aaa=1                              ★★★値が1に設定される

----------

ifの条件式

=> fstype mmc 1:6 bootfstype
=> prin bootfstype
bootfstype=fat

1行目はboot可能フラグを持ったパーティションがあるかどうかを見ています。あればdevplist環境変数に「パーティションの番号」が設定されます。

2行目はboot可能フラグを持ったパーティションがなかったときのフェールセーフ処理で、先頭パーティション(1番)から起動を試みます。

ループ内のif文はパーティションのファイルシステム形式を取得して、bootfstypeという環境変数に設定します。ファイルシステムがわからない場合は処理をやめます。

あと、ループの条件文のところでdistro_bootpartにdevplistに格納されているパーティション番号(今回の場合は6)が設定されます。これも後で使われます。

scan_dev_for_boot
環境変数:
devnum=1
devtype=mmc
distro_bootpart=6
bootfstype=fat

----------

=> print scan_dev_for_boot
scan_dev_for_boot=echo Scanning ${devtype} ${devnum}:${distro_bootpart}...; for prefix in ${boot_prefixes}; do run scan_dev_for_extlinux; run scan_dev_for_scripts; done;run scan_dev_for_efi;

----------

改行入れた版

echo Scanning ${devtype} ${devnum}:${distro_bootpart}...;
for prefix in ${boot_prefixes};
do
    run scan_dev_for_extlinux;    ★★★成功すれば、以降は実行されない(他のscan_dev_xxxも同様)
    run scan_dev_for_scripts;
done;
run scan_dev_for_efi;

----------

boot_prefixesの内容

=> print boot_prefixes
boot_prefixes=/ /boot/

メッセージを出して、scan_dev_for_xxxのいずれかを実行します。これらのスクリプトは成功すると、OSつまりLinuxなどに制御が移りますので、成功したらU-Bootに戻りません。試す順は下記のようです。

  • distro boot
  • パーティションからU-Bootスクリプトをロード
  • EFI boot

今回はdistro bootを使っていますので、scan_dev_for_extlinuxスクリプトを見ます。

scan_dev_for_extlinux
環境変数:
devnum=1
devtype=mmc
distro_bootpart=6
bootfstype=fat
prefix=/ もしくは /boot/

----------

=> prin scan_dev_for_extlinux
scan_dev_for_extlinux=if test -e ${devtype} ${devnum}:${distro_bootpart} ${prefix}extlinux/extlinux.conf; then echo Found ${prefix}extlinux/extlinux.conf; run boot_extlinux; echo SCRIPT FAILED: continuing...; fi

=> prin boot_extlinux
boot_extlinux=sysboot ${devtype} ${devnum}:${distro_bootpart} any ${scriptaddr} ${prefix}extlinux/extlinux.conf

----------

改行入れた版

-- scan_dev_for_extlinux

if test -e ${devtype} ${devnum}:${distro_bootpart} ${prefix}extlinux/extlinux.conf;
then
    echo Found ${prefix}extlinux/extlinux.conf;
    run boot_extlinux;
    echo SCRIPT FAILED: continuing...;
fi

-- boot_extlinux

sysboot ${devtype} ${devnum}:${distro_bootpart} any ${scriptaddr} ${prefix}extlinux/extlinux.conf

----------

ifの条件文

=> if test -e mmc 1:6 /extlinux/extlinux.conf; then echo OK; else echo NG; fi
OK
=> if test -e mmc 1:6 /boot/extlinux/extlinux.conf; then echo OK; else echo NG; fi
NG

----------

新出の環境変数

=> print scriptaddr
scriptaddr=0x00500000

----------

sysbootのヘルプ

=> sysboot
sysboot - command to get and boot from syslinux files

Usage:
sysboot [-p] <interface> <dev[:part]> <ext2|fat|any> [addr] [filename]
    - load and parse syslinux menu file 'filename' from ext2, fat
      or any filesystem on 'dev' on 'interface' to address 'addr'

ブートするパーティションにextlinux.confという名前の設定ファイルがあるかどうかを探し、あればboot_extlinuxスクリプトを呼びます。boot_extlinuxはsysbootコマンドを呼びます。

今まで設定してきた環境変数を総動員してあてはめると…、最終的には下記のコマンドが実行されることがわかります。

sysboot mmc 1:6 any 0x00500000 /extlinux/extlinux.conf

もちろん、このコマンドを単独で実行しても起動するはずです。

extlinux.confの内容

# cat extlinux/extlinux.conf
label kernel-4.4
    kernel /Image
    initrd /initrd.img
    fdt /dtb
    append earlycon=uart8250,mmio32,0xff130000 rw root=LABEL=linux-root rootwait rootfstype=ext4 init=/sbin/init coherent_pool=1M ethaddr=${ethaddr} eth1addr=${eth1addr} serial=${serial#}

言い忘れてました。extlinux.confはこのような記述です。カーネルイメージ(Image)、initramfsイメージ(initrd.img), デバイスツリーブロブ(*.dtb)のファイル名、カーネルに渡すコマンドラインを指定できます。

GRUBの設定ファイルに似ているけど、もっとシンプルですね。

編集者:すずき(2020/10/30 02:12)

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2018年8月15日

自分のマシンは何GFLOPSか? その3

その1その2その3

LINPACKを単独のマシンで実行してもあまり面白くないので、クラスタで実行したいと思います。役割としてはマスタが1台、スレーブが他全部という分担になります。LINPACKの場合、マスタからスレーブにsshでログインして、ログイン後xhplを実行するようです。

スレーブ側の設定

スレーブ側はLINPACKをコンパイルして、xhplをマスタと同じパスに配置すればOK です(HPL.datは要らない)。マスタ側のバイナリが /home/username/a/b/c/xhplに置かれているとしたら、スレーブ側も同じ /home/username/a/b/c/xhplディレクトリに置かなければ起動できないようです。

一番簡単なのはマスタ、スレーブ、全てのノードに同じユーザを作成して、MPI実行用のバイナリを入れるディレクトリを作成することですね。

さらにスレーブはsshの公開鍵認証にしておくと、LINPACK起動時にパスワードを打たなくて良いので楽です。マスタからスレーブにログインできればOKで、スレーブからマスタにログインする設定は不要です。

マスタ側の設定

マスタ側はLINPACKをコンパイルするのは当然として、少しだけ特別な設定が必要です。私はhostfileの存在に気づくまでにかなり時間がかかりました…。

  • HPL.dat: 単独で実行していたときにも使っていたLINPACKパラメータを書いたファイル
  • hostfile: クラスタのノード一覧を書いたファイル

HPL.datは単独動作と同じで良いです。性能は後で考えるとして、とりあえず動作するはずです。

クラスタのノード一覧hostfileは単独のときには使っていませんでした。基本的にはクラスタを構成するノードのホスト名(IPアドレスでも良いです)を並べるだけです。

hostfileの記述例

localhost slots=4
192.168.1.109 slots=4

上記は2台構成(ROCK64がlocalhost、Raspberry Pi 3が192.168.1.109)の記述です。slots= にはそのノードがいくつのプロセスを扱えるかを記述します。どちらも4コア4スレッドのCPUなのでslots=4としています。まあ2とか8とかにしても動きますが、効率は下がります。

クラスタ起動

実行は下記のようにします。ROCK64がマスタ、Raspberry Pi 3がスレーブです。下記のコマンドはマスタ側で実行してください。

クラスタでのLINPACK実行
$ cd bin/Linux_ATHLON_CBLAS
$ ls
HPL.dat  hostfile  xhpl

$ mpirun -n 8 -hostfile hostfile -host localhost,192.168.1.109 xhpl
...
================================================================================
T/V                N    NB     P     Q               Time                 Gflops
--------------------------------------------------------------------------------
WR00L2L2        2000    64     1     4               3.74              1.429e+00
HPL_pdgesv() start time Wed Aug 15 00:11:49 2018

HPL_pdgesv() end time   Wed Aug 15 00:11:53 2018

--------------------------------------------------------------------------------
||Ax-b||_oo/(eps*(||A||_oo*||x||_oo+||b||_oo)*N)=        0.0037309 ...... PASSED
...

MPIの凄いところはROCK64(arm64)とRasPi(arm)のようにアーキテクチャが違うクラスタでも実行できてしまうところです。メッセージパッシングの隠れた利点かもしれません。

動作しているかどうか確認するにはRaspberry Pi 3側でtopなどで見るのが確実だと思います。LINPACK実行中にxhplが4プロセス実行されているはずです(全力で実行した場合)。

ちなみにhostfileを指定し忘れるとこんなエラーになります。8プロセス起動しろと言われても、どのノードがプロセスをいくつ受け持ってくれるかわからないので、怒っている訳ですね。

hostfileを指定し忘れるとこんなエラー
$ mpirun -n 8 -host localhost,192.168.1.109 xhpl
--------------------------------------------------------------------------
There are not enough slots available in the system to satisfy the 8 slots
that were requested by the application:
  xhpl

Either request fewer slots for your application, or make more slots available
for use.
--------------------------------------------------------------------------

それとOpenMPIのバージョンには注意してください。我が家のデスクトップPC(Debian Testing, OpenMPI 3.1.1)とファイルサーバ(Debian Stable, OpenMPI 2.0.2)でx86_64クラスタを構成しようとしたところ、OpenMPIのバージョン違いでこんなエラーになって実行できませんでした。

OpenMPIのバージョン違いだとこんなエラー
$ mpirun -n 4 -hostfile hostfile -host localhost,falcon xhpl
[blackbird:29131] tcp_peer_recv_connect_ack: invalid header type: 0★★★★こんなエラーで怒られる★★★★
--------------------------------------------------------------------------
ORTE was unable to reliably start one or more daemons.
This usually is caused by:

* not finding the required libraries and/or binaries on
  one or more nodes. Please check your PATH and LD_LIBRARY_PATH
  settings, or configure OMPI with --enable-orterun-prefix-by-default

* lack of authority to execute on one or more specified nodes.
  Please verify your allocation and authorities.

* the inability to write startup files into /tmp (--tmpdir/orte_tmpdir_base).
  Please check with your sys admin to determine the correct location to use.

*  compilation of the orted with dynamic libraries when static are required
  (e.g., on Cray). Please check your configure cmd line and consider using
  one of the contrib/platform definitions for your system type.

* an inability to create a connection back to mpirun due to a
  lack of common network interfaces and/or no route found between
  them. Please check network connectivity (including firewalls
  and network routing requirements).
--------------------------------------------------------------------------

エラーメッセージはたくさん出ますが、解決に辿り着かないので何とも言えない気分です…。

肝心の性能は

結論から言ってしまえばROCK64とRaspberry Pi 3のクラスタは意味がなさそうです。なぜならROCK64 1台のほうが速いからです…。

まずは単独実行と同じ問題サイズN=2000での実行結果です。多少上下しますが0.6〜0.7GFlopsくらいです。ROCK64単独(1.4GFlops)の半分以下です。P, Qの値は2, 4が一番良さそうでした。他の値(1, 8や4, 2)にすると激遅で実行が終わりません。

ROCK64, Raspberry Pi 3の2台クラスタN=2000
$ mpirun -n 8 -hostfile hostfile -host localhost,192.168.1.109 xhpl
...
================================================================================
T/V                N    NB     P     Q               Time                 Gflops
--------------------------------------------------------------------------------
WR00R2L4        2000    64     2     4               7.97              6.699e-01
HPL_pdgesv() start time Wed Aug 15 00:41:15 2018

HPL_pdgesv() end time   Wed Aug 15 00:41:22 2018

--------------------------------------------------------------------------------
||Ax-b||_oo/(eps*(||A||_oo*||x||_oo+||b||_oo)*N)=        0.0037423 ...... PASSED
================================================================================
T/V                N    NB     P     Q               Time                 Gflops
--------------------------------------------------------------------------------
WR00R2C2        2000    64     2     4               7.94              6.724e-01
HPL_pdgesv() start time Wed Aug 15 00:41:23 2018

HPL_pdgesv() end time   Wed Aug 15 00:41:31 2018
...

問題サイズが小さすぎたかな?と思いN=4000にしてみました。0.9〜1.3GFlopsとだいぶ性能が上がります。単独実行の場合N=2000とN=4000ではほぼ性能に変化はありません。

ROCK64, Raspberry Pi 3の2台クラスタN=4000
$ mpirun -n 8 -hostfile hostfile -host localhost,192.168.1.109 xhpl
...
================================================================================
T/V                N    NB     P     Q               Time                 Gflops
--------------------------------------------------------------------------------
WR00L2L2        4000    64     2     4              32.17              1.327e+00
HPL_pdgesv() start time Wed Aug 15 00:50:32 2018

HPL_pdgesv() end time   Wed Aug 15 00:51:04 2018

--------------------------------------------------------------------------------
||Ax-b||_oo/(eps*(||A||_oo*||x||_oo+||b||_oo)*N)=        0.0018773 ...... PASSED
================================================================================
T/V                N    NB     P     Q               Time                 Gflops
--------------------------------------------------------------------------------
WR00L2L4        4000    64     2     4              40.92              1.043e+00
HPL_pdgesv() start time Wed Aug 15 00:51:04 2018

HPL_pdgesv() end time   Wed Aug 15 00:51:45 2018
...

性能が違うノードを組み合わせているからなのか、放熱が足りなくてオーバーヒートしているのか、性能がかなり不安定です。たまにSystem負荷が50%台に張り付いて、実行が終わらなくなるときもあります。うーん、たった2台でも難しいものだな。

編集者:すずき(2018/08/15 10:46)

コメント一覧

  • すずきさん(2018/08/15 10:35)
    さすがに x86_64 と arm のクラスタは無理みたい。エラーになってしまう。
  • すずきさん(2018/08/15 10:42)
    実行できた。あと実行ファイルパスについて、大きく勘違いしていた。実行ファイルのパスを完全に合わせないとダメみたい。
  • すずきさん(2018/08/15 10:52)
    うーん、なんか暴走したり、動かなかったり、うまくいかない。素直に同じアーキテクチャのマシンをたくさん用意したほうが良さそう。
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2018年8月14日

自分のマシンは何GFLOPSか? その2

その1その2その3

LINPACKのビルドができたので、さっそく実行してみます。バイナリはbinディレクトリの下にあります。

実行の仕方はmpirun -n 4 xhplのようにします。パラメータファイル(HPL.dat)が置いてあるディレクトリで実行してください。


AMD A10-7800での実行結果

これが最速パラメータかどうか自信がありませんが、とりあえず10GFlopsだそうです。

しかしhdk氏のAMD A10-7870Kは19GFlops出ているそうです。両者ともにBulldozer系のAPUなのに、倍も差がつく理由がさっぱりわかりません。謎です…。

AMD A10-7800の性能(追記)

何気なくcblasとatlasのスタティックリンクをやめて、ダイナミックリンクに変更したところ、いきなり性能が上がり1.7倍の17GFlopsになりました。


AMD A10-7800での実行結果(ダイナミックリンク版)

えー?なぜ!?とりあえずperf topで見てみるとlibatlas.soの関数が8割ほどの実行時間を占めています。ここが効率的になったんでしょうか?そんなに変わるものですかね、さっぱり意味がわかりません…。

ARMも見てみる

ROCK64でも実行してみました。SoCはRockchip RK3328、CPUはCortex-A53 x 4 です。


ROCK64での実行結果

大体1.5GFlopsでした。A10-7800と比べるとやはり1桁違いますね(PCが6.7倍速い)(ダイナミックリンク版だと11倍速い)。

コンパイル実験(2018年8月12日の日記参照)のときはPCが18倍ほど速かったので、コンパイル実験よりは差が縮まっている、とも取れます。

電力効率の点から見ると、PC 1台よりROCK64を10台並べた方が省エネなのでしょうか?微妙かな…?今度、ワットチェッカーで比べてみましょうか。

編集者:すずき(2018/08/15 10:08)

コメント一覧

  • hdkさん(2018/08/14 23:06)
    なるほど! LINKERを変えていなくてリンクエラーになるのを何とかしようとして手こずっている間に-lcblas -latlasに変えていました... まさかそれが実行時間を短縮するとは...
  • すずきさん(2018/08/15 08:34)
    ダイナミックリンクにするだけで性能がほぼ倍になるので、私も驚きです…。
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2018年8月13日

自分のマシンは何GFLOPSか? その1

その1その2その3

自分のマシンは何GFLOPSか知りたくなって、スパコン界隈で有名なLINPACKを実行してみようと思い立ちました。ソースコードは HPL- A Portable Implementation of the High-Performance Linpack Benchmark for Distributed-Memory Computers にあります。私はhpl-2.2.tar.gzを使用しました。

ビルド方法はINSTALLファイルに書いてある通りですが、結構ハマったので、私の手順もメモしておきます。環境はDebian GNU/Linux Testingのamd64版です。

LINPACKのMakefile

コードを展開し、setupディレクトリの下にあるMake.xxxをトップディレクトリにコピーして使います。たくさんファイルがありますが、AthlonマシンなのでLinux_ATHLON_CBLASを選びました。FBLASという名前のファイルもありますが、

  • CBLAS: C版
  • FBLAS: Fortran版

のようです。用語の意味はわかりませんが、Makefileのdiffを見れば何となくわかるはず、きっと。

ビルドの準備

コピーしてきたMake.Linux_ATHLON_CBLASは書き換える必要があります。特に大事なのはTOPdirです。

この変更を忘れるとホームディレクトリ直下のhplというディレクトリがトップディレクトリだと思って、ビルドを始めます。最終的に「Make.incが見つからない」と言われて失敗します。

Make.incをfindで探すとわかりますがMake.incはシンボリックリンクです。ビルドに失敗するときはMake.incが全然関係ない場所を指していると思います。

もしTOPdirを書き換え忘れてビルドが失敗した場合はmake arch=Linux_ATHLON_CBLAS clean_archとしてください。アーキテクチャ名の付いたディレクトリ(Make.incもそのディレクトリに入っている)が全て消滅するはずです。

書き換え箇所
# TOPdirをソースコードを配置した位置に合わせて修正します
TOPdir = ...

# コンパイラをgccからmpiccにします
CC = /usr/bin/mpicc
# リンカもgccからmpiccにします
LINKER = /usr/bin/mpicc

# OpenMPIのライブラリ位置
MPdir = /usr/lib/x86_64-linux-gnu
MPinc = -I$(MPdir)/openmpi/include

# ビルドしたバイナリが動かなくなるため、MPlibは削除
#MPlib = ...

# LAlibのライブラリ位置
LAdir = /usr/lib/x86_64-linux-gnu
# スタティックリンクだとなぜか遅いので、ダイナミックリンクに変更
LAlib = -lcblas -latlas

# 末尾に -lrt -lbacktraceを追加します。
# HPL_LIBSの先頭に追加するとリンクエラーになります。
HPL_LIBS = ... -lrt -lbacktrace

あと、私の環境の場合、下記パッケージのインストールが必要でした。

  • libopenmpi-dev
  • libmpich-dev
  • libatlas-base-dev

実行はまた今度にします。

編集者:すずき(2018/08/15 10:08)

コメント一覧

  • hdkさん(2018/08/14 00:11)
    LINKERも変えるんですかね(ちゃんと理解してない)
  • すずきさん(2018/08/14 00:20)
    あ、そうでした、LINKER も mpicc に変えないと、めちゃくちゃエラーが出ます…。
  • すずきさん(2018/08/14 00:33)
    LINKER の記述も足しておきました。
  • すずきさん(2018/08/14 12:34)
    LAlib をダイナミックリンクにする記述も足しました。
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