RENAME

Section: Linux Programmer's Manual (2)
Updated: 2020-06-09
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名前

rename, renameat, renameat2 - ファイルの名前や位置を変更する  

書式

#include <stdio.h>

int rename(const char *oldpath, const char *newpath);

#include <fcntl.h>           /* AT_* 定数の定義 */
#include <stdio.h>

int renameat(int olddirfd, const char *oldpath,
             int newdirfd, const char *newpath);

int renameat2(int olddirfd, const char *oldpath,
              int newdirfd, const char *newpath, unsigned int flags);

glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7) 参照):

renameat():

glibc 2.10 以降:
_POSIX_C_SOURCE >= 200809L
glibc 2.10 より前:
_ATFILE_SOURCE

renameat2():

_GNU_SOURCE
 

説明

rename() はファイルの名前を変更し、必要ならばディレクトリ間の移動を行なう。 そのファイルに対する (link(2) を使用して作られた) 他のハードリンク (hard link) には影響はない。 オープン済の oldpath に対するファイルディスクリプターにも影響はない。

Various restrictions determine whether or not the rename operation succeeds: see ERRORS below.

If newpath already exists, it will be atomically replaced, so that there is no point at which another process attempting to access newpath will find it missing. However, there will probably be a window in which both oldpath and newpath refer to the file being renamed.

oldpathnewpath がどちらも既存のハードリンクで、同じファイルを参照している場合、 rename() は何も行わず、ステータスとして成功を返す。

newpath が存在し、何らかの理由で操作が失敗した場合、 rename() は newpath の実体を元のまま残すことを保証する。

oldpath にはディレクトリを指定することもできる。 この場合、 newpath は存在しないか、空のディレクトリでなければならない。

oldpath がシンボリックリンク (symbolic link) を参照している場合は、 リンクの名前が変更される。 また、 newpath がシンボリックリンクを参照している場合は、リンクが上書きされる。  

renameat()

renameat() システムコールは rename() と全く同様に動作するが、以下で説明する点が異なる。

oldpath で指定されたパス名が相対パスの場合、このパス名はファイルディスクリプター olddirfd が参照するディレクトリに対する相対パスと解釈される (rename(2) に相対パス名を渡した場合のように、呼び出したプロセスのカレントワーキングディレクトリに対する相対パスではない)。

oldpath で指定されたパス名が相対パスで、 olddirfd が特別な値 AT_FDCWD の場合、 (rename(2) と同様に) oldpath は呼び出したプロセスのカレントワーキングディレクトリに対する相対パスと解釈される。

oldpath で指定されたパス名が絶対パスの場合、 olddirfd は無視される。

newpath の解釈は oldpath と同じである。 相対パスのパス名がファイルディスクリプター newdirfd が参照するディレクトリと解釈される点だけが異なる。

renameat() の必要性についての説明については openat(2) を参照。  

renameat2()

renameat2() には追加の flags 引数がある。 flags 引数が 0 の renameat2() の呼び出しは renameat() と等価である。

flags 引数は、以下のフラグの 0 個以上のビットマスクである。

RENAME_EXCHANGE
oldpathnewpath をアトミックに入れ換える。 両方のパス名が存在しなければならないが、 ファイル種別は異なっていてもよい (例えば、一方は空でないディレクトリで、もう一方はシンボリックリンクであるなど)。
RENAME_NOREPLACE
rename の newpath を上書きしない。 newpath がすでに存在する場合エラーを返す。
RENAME_NOREPLACE can't be employed together with RENAME_EXCHANGE.
RENAME_NOREPLACE requires support from the underlying filesystem. Support for various filesystems was added as follows:
*

 ext4 (Linux 3.15);
*

 btrfs, shmem, cifs (Linux 3.17);
*

 xfs (Linux 4.0);
*
Support for many other filesystems was added in Linux 4.9, including ext2, minix, reiserfs, jfs, vfat, and bpf.
RENAME_WHITEOUT (Linux 3.18 以降)
This operation makes sense only for overlay/union filesystem implementations.
Specifying RENAME_WHITEOUT creates a "whiteout" object at the source of the rename at the same time as performing the rename. The whole operation is atomic, so that if the rename succeeds then the whiteout will also have been created.
A "whiteout" is an object that has special meaning in union/overlay filesystem constructs. In these constructs, multiple layers exist and only the top one is ever modified. A whiteout on an upper layer will effectively hide a matching file in the lower layer, making it appear as if the file didn't exist.
When a file that exists on the lower layer is renamed, the file is first copied up (if not already on the upper layer) and then renamed on the upper, read-write layer. At the same time, the source file needs to be "whiteouted" (so that the version of the source file in the lower layer is rendered invisible). The whole operation needs to be done atomically.
When not part of a union/overlay, the whiteout appears as a character device with a {0,0} device number. (Note that other union/overlay implementations may employ different methods for storing whiteout entries; specifically, BSD union mount employs a separate inode type, DT_WHT, which, while supported by some filesystems available in Linux, such as CODA and XFS, is ignored by the kernel's whiteout support code, as of Linux 4.19, at least.)
RENAME_WHITEOUT requires the same privileges as creating a device node (i.e., the CAP_MKNOD capability).
RENAME_WHITEOUT can't be employed together with RENAME_EXCHANGE.
RENAME_WHITEOUT requires support from the underlying filesystem. Among the filesystems that provide that support are tmpfs (since Linux 3.18), ext4 (since Linux 3.18), XFS (since Linux 4.1), f2fs (since Linux 4.2), btrfs (since Linux 4.7), and ubifs (since Linux 4.9).
 

返り値

成功した場合は 0 が返される。エラーの場合は -1 が返され、 errno が適切に設定される。  

エラー

EACCES
oldpath または newpath を含んでいるディレクトリの書き込み許可がない。 または、 oldpath または newpath のディレクトリ部分のどれかに検索許可がない。 または、 oldpath がディレクトリで (.. エントリーを更新するのに必要な) 書き込み許可がない (path_resolution(7) も参照)。
EBUSY
oldpath または newpath がディレクトリで、何らかのプロセスが使用中 (多分、カレントワーキングディレクトリか、ルートディレクトリか、 読み込みのためにオープンされているかでろう) もしくは、システムが使用中 (例えばマウントポイントである) であり、システムがこれをエラーであると判断したために rename が失敗した。 (このような場合に EBUSY を返すことは規格では要求されていない点に注意すること。 このような場合に、rename をとにかく実行してみるのは何の問題もない。 ただし、そのような状況で、システムが他に返すエラーがない場合には EBUSY を返すことが許されている。)
EDQUOT
ディスクブロックか inode がそのファイルシステムのユーザークォータに達していた。
EFAULT
oldpathnewpath がアクセス可能なアドレス空間の外を指している。
EINVAL
newpatholdpath のパス部分を含んでいる。ディレクトリを自分自身のサブディレクトリに 変更しようとした場合がほとんどである。
EISDIR
newpath は存在しているディレクトリであるが、 oldpath はディレクトリでない。
ELOOP
oldpath または newpath を解決する際に遭遇したシンボリックリンクが多過ぎる。
EMLINK
oldpath は既に最大数までのリンクを持っているか、それがディレクトリで newpath を含んでいるディレクトリが最大数までのリンクを持っている。
ENAMETOOLONG
oldpath または newpath が長過ぎる。
ENOENT
oldpath という名前のリンクが存在しない。 または、 newpath というディレクトリが存在しない。 または、 oldpathnewpath が空の文字列である。
ENOMEM
十分なカーネルメモリーがない。
ENOSPC
そのファイルを含んでいるデバイスに新しいディレクトリエントリーを 作成するための空きがない。
ENOTDIR
oldpathnewpath に含まれているディレクトリ部分が 実際にはディレクトリでない。 または oldpath がディレクトリで、 newpath が存在してディレクトリでない。
ENOTEMPTY または EEXIST
newpath が空でないディレクトリである。すなわち "." と ".." 以外を含んでいる。
EPERM または EACCES
oldpath のあるディレクトリにスティッキービット (sticky bit) (S_ISVTX) が設定されており、 プロセスの実効ユーザー ID が 削除しようとするファイルのユーザー ID と そのファイルを含むディレクトリのユーザー ID のいずれとも一致せず、かつ プロセスに特権がない (Linux では CAP_FOWNER ケーパビリティ (capability) がない)。 または、 newpath がすでに存在するファイルで、親ディレクトリにスティッキービットが設定されており、 プロセスの実効ユーザー ID が 置き換えようとするファイルのユーザー ID と そのファイルを含むディレクトリのユーザー ID のいずれとも一致せず、かつ プロセスに特権がない (Linux では CAP_FOWNER ケーパビリティがない)。 または oldpathnewpath が存在するファイルシステムが、要求された種類の名前の変更を サポートしていない。
EROFS
ファイルが読み込み専用のファイルシステムに存在する。
EXDEV
oldpathnewpath が同じマウントされたファイルシステムに存在しない。 (Linux は 1 つのファイルシステムを複数のマウント位置に マウントすることを許可している。 しかし rename() は、たとえ同じファイルシステムであっても、 別々のマウント位置を跨いでは動作しない。)

renameat() と renameat2() では以下のエラーも発生する。

EBADF
olddirfdnewdirfd が有効なファイルディスクリプターでない。
ENOTDIR
oldpath が相対パスで、 olddirfd がディレクトリ以外のファイルを参照している。または newpathnewdirfd に関して同じ状況である。

renameat2() では以下のエラーも発生する。

EEXIST
flagsRENAME_NOREPLACE が指定されているが、 newpath がすでに存在する。
EINVAL
無効なフラグ値が flags に指定された。
EINVAL
RENAME_NOREPLACERENAME_EXCHANGE の両方が flags に指定された。
EINVAL
Both RENAME_WHITEOUT and RENAME_EXCHANGE were specified in flags.
EINVAL
flags にファイルシステムでサポートされていないフラグが指定された。
ENOENT
flagsRENAME_EXCHANGE が指定されたが、 newpath が存在しない。
EPERM
RENAME_WHITEOUTflags に指定されたが、呼び出し元が CAP_MKNOD ケーパビリティを持っていない。
 

バージョン

renameat() はカーネル 2.6.16 で Linux に追加された。 ライブラリによるサポートはバージョン 2.4 で glibc に追加された。

renameat2() はカーネル 3.15 で Linux に追加された。 ライブラリによるサポートは glibc 2.28 で追加された。  

準拠

rename(): 4.3BSD, C89, C99, POSIX.1-2001, POSIX.1-2008.

renameat(): POSIX.1-2008.

renameat2() は Linux 固有である。  

注意

 

glibc での注意

renameat() が利用できない古いカーネルでは、 glibc ラッパー関数は rename() を使用するモードにフォールバックする。 oldpathnewpath が相対パスの場合、 glibc は olddirfdnewdirfd 引数に対応する /proc/self/fd のシンボリックリンクに基づいてそれぞれパス名を構成する。  

バグ

NFS ファイルシステムでは、操作が失敗したからといって、 ファイルの名前が変更できなかったと決めてかかることはできない。 サーバが rename 操作を終えてからクラッシュした場合、 サーバが再び立ち上がったときに、 再送信された RPC が処理されるが、これは失敗となる。 アプリケーションはこの問題を正しく取り扱うことが期待されている。 同様の問題について link(2) にも書かれている。  

関連項目


 mv(1), rename(1), chmod(2), link(2), symlink(2), unlink(2), path_resolution(7), symlink(7)  

この文書について

この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。


 

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glibc での注意
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Time: 16:46:42 GMT, November 24, 2023