WORDEXP
Section: Linux Programmer's Manual (3)
Updated: 2020-11-01
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名前
wordexp, wordfree - posix シェルのように単語の展開を行う
 
書式
#include <wordexp.h>
int wordexp(const char *s, wordexp_t *p, int flags);
void wordfree(wordexp_t *p);
glibc 向けの機能検査マクロの要件 (feature_test_macros(7)  参照):
wordexp(), wordfree(): _XOPEN_SOURCE
 
説明
関数 wordexp()  はシェルのように文字列 s を展開し、 p で指し示す構造体に結果を返す。 データ型
wordexp_t は少なくともフィールド we_wordc, we_wordv, we_offs を持つ構造体である。
フィールド we_wordc は size_t であり、 s を展開した結果に単語がいくつあるかを表す。 フィールド
we_wordv は char ** であり、見つかった単語の配列を指し示す。 size_t 型のフィールド we_offs
は、 we_wordv 配列にある初期要素のうちいくつが NULL で埋められるべきかを表すのに使われたりする (flags
により決定される。下記を参照。)。
関数 wordfree()  は割り当てたメモリーを再度解放する。 より正確にいうと、この関数はその引数を解放するのではなく、 配列
we_wordv とそれが指し示す文字列を解放する。
 
文字列引数
この展開はシェルによるコマンドのパラメーターの展開 (sh(1)  を参照) と同じであるので、文字列 s
はシェルコマンドパラメーターで不正とされる文字を含んではならない。 特にエスケープされていない改行、|, &, ;, <, >, (,
), {, } 文字を コマンド置換やパラメーター置換の場面以外に含めてはならない。
引数 s にクォートしていないコメント文字 # で始まる単語が含まれている場合には、 その単語とそれ以降の単語が無視されるか、 それとも #
がコメント文字として扱わないかは、規定されていない。
 
展開
実行される展開は、以下の段階で構成される: チルダ展開 (~user を user のホームディレクトリに置き換える)、 変数展開 ($FOO
を環境変数 FOO の値に置き換える)、 コマンド展開 ($(command) または `command` を command
の出力で置き換える)、 算術展開、フィールド分割、ワイルドカード展開、クォートの除去。
特殊なパラメーター ($@, $*, $#, $?, $-, $$, $!, $0) の 展開結果は規定されていない。
フィールド分割は環境変数 $IFS を用いて行われる。 この環境変数が設定されていない場合、 フィールド区切り文字はスペース・タブ・改行である。
 
出力される配列
配列 we_wordv は見つかった単語をを含み、最後に NULL が続く。
 
flags 引数
flags 引数は以下の値のビット包含的 OR である:
- WRDE_APPEND
 - 
見つかった単語を前回の呼び出し結果の配列に追加する。
 - WRDE_DOOFFS
 - 
初期状態である we_offs 個の NULL を配列 we_wordv に挿入する (これらは返される we_wordc
にはカウントされない)。
 - WRDE_NOCMD
 - 
コマンド置換を行わない。
 - WRDE_REUSE
 - 
引数 p は前回の wordexp()  の呼び出し結果であり、 wordfree()  が (まだ) 呼び出されない。
割り当てられた領域を再利用する。
 - WRDE_SHOWERR
 - 
通常はコマンド置換のときに stderr が /dev/null にリダイレクトされる。 このフラグは stderr
をリダイレクトしないように指定する。
 - WRDE_UNDEF
 - 
未定義のシェル変数を展開しようとした場合に、エラーとして扱う。
 
 
返り値
成功した場合は 0 が返される。 エラーの場合は以下の 5 つの値のうちの 1 つが返される。
- WRDE_BADCHAR
 - 
改行または |, &, ;, <, >, (, ), {, } のうちの 1 つが不正に出現した。
 - WRDE_BADVAL
 - 
未定義のシェル変数が参照され、かつ WRDE_UNDEF フラグでこれをエラーとして扱うように指示されている。
 - WRDE_CMDSUB
 - 
コマンド置換が要求されたが、 WRDE_NOCMD フラグでこれをエラーとして扱うように指示されていた。
 - WRDE_NOSPACE
 - 
メモリーが足りない。
 - WRDE_SYNTAX
 - 
対応する括弧がない、クォートが合致しないといった、 シェルの書式エラー。
 
 
バージョン
wordexp()  と wordfree()  は、バージョン 2.1 以降の glibc で提供されている。
 
属性
この節で使用されている用語の説明については、 attributes(7) を参照。
| インターフェース | 属性 | 値
  | 
| 
wordexp()
 | Thread safety | 
MT-Unsafe race:utent const:env
 
env sig:ALRM timer locale
  | 
| 
wordfree()
 | Thread safety | MT-Safe
  | 
In the above table, utent in race:utent signifies that if any of the
functions setutent(3), getutent(3), or endutent(3)  are used in
parallel in different threads of a program, then data races could occur.
wordexp()  calls those functions, so we use race:utent to remind users.
 
準拠
POSIX.1-2001, POSIX.1-2008.
 
例
以下のサンプルプログラムの出力はだいたい "ls [a-c]*.c" と同じになる。
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <wordexp.h>
int
main(int argc, char **argv)
{
    wordexp_t p;
    char **w;
    wordexp("[a-c]*.c", &p, 0);
    w = p.we_wordv;
    for (int i = 0; i < p.we_wordc; i++)
        printf("%s\n", w[i]);
    wordfree(&p);
    exit(EXIT_SUCCESS);
}
 
関連項目
fnmatch(3), glob(3)
 
この文書について
この man ページは Linux man-pages プロジェクトのリリース 5.10 の一部である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
https://www.kernel.org/doc/man-pages/ に書かれている。
 Index
- 名前
 - 
 - 書式
 - 
 - 説明
 - 
- 文字列引数
 - 
 - 展開
 - 
 - 出力される配列
 - 
 - flags 引数
 - 
 
 - 返り値
 - 
 - バージョン
 - 
 - 属性
 - 
 - 準拠
 - 
 - 例
 - 
 - 関連項目
 - 
 - この文書について
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