オリジナルのファイルの内容、モード (許可属性)、タイムスタンプ、オーナー およびグループも書庫に保存され、取出しの際に再設定することができる。
GNU ar では、書庫に含まれるメンバーの名前の長さに制限はない。ただし ar のインストール時の設定によっては、制限が付いている場合があるかもしれな い (他のツールで扱える書庫フォーマットとの互換性のためであることが多い)。 制限がある場合には、 15 文字 (a.out 関連フォーマット) または 16 文字 (coff 関連フォーマット) であることが多い。
ar はバイナリーユーティリティ (binary utility) とされている。 なぜならこの種の書庫は汎用のサブルーチンをまとめた ライブラリ として用いられることが多いからである。
ar は、書庫に入っているリロケータブルなオブジェクトモジュールに含まれるシ ンボルの索引 (index) を作成することができる。これは修正子 (modifier) `s' が指定されたときの動作である。一度作成されると、この索引は ar によって書庫の内容が変更されるたびに更新される (ただし `q' によっ て書庫が更新された場合を除く)。このような索引を持った書庫では、ライブ ラリとしてリンクされる場合の速度が向上する。またライブラリの内部に含まれる ルーチンが、書庫内部での位置によらずお互いを呼び出すことができるように なる。
`nm -s' または `nm --print-armap' とすればこの索引をリ ストすることができる。書庫に索引がない場合は、 ar の別名である ranlib を用いて索引を追加することもできる。
ar の実行には最低 2 つの引数が必要である。一つは ar の動作 (operation) を指定する一文字の英字 (動作指定子 :keyletter) であ り (他の英字が修正子として付随することもある)、もう一つは実際に操作の 対象となる書庫の名前である。
ほとんどの動作では動作対象とするファイルを files 引数として与えることもできる。
最初のコマンドライン引数の先頭にダッシュ (-) を加えてもかまわない。
動作指定子 p では実行する動作を指定する。これには以下のどれかを指定する。複数指定す ることはできない。
修正子として v を指定すると、 ar は削除したモジュールをそれぞれ表示する。
一つのシンボルが書庫内部の複数のメンバーによって定義されている場合、メ ンバーの配置の順番が異なると、このライブラリへのリンクのされ方が予想と は異なる可能性がある。
修正子による指定がなければ、 m による操作では files 引数によって指定されたメンバーを書庫の最後尾に移動する。移動先を 修正子 `a'、 `b'、 i によって指定することもできる。
files を指定しないと、書庫の内部のすべてのファイルが表示される。
修正子 a、b、i はこの操作には影響しない。新しいメンバーは常に書庫の最後に配置される。
修正子 vをつけるとar は追加する際にそれぞれのファイルを表示する。
この操作のミソは速度なので、書庫のシンボルテーブルは更新されない (存在 していても更新されない)。シンボルテーブルを明示的に更新させるには ar s または ranlib を用いればよい。
しかし、 quick append の際に index が再構築されるとみなしている システムがあまりにも多いので、 GNU ar の実装では q を r と同義としている。
files のリストの中に存在しないファイルがあった場合 ar はエラーを表示する。そしてそのメンバーに関しては古いものを書庫にそのま ま残し、変更を行なわない。
デフォルトでは新たなメンバーはファイルの最後に追加される。 修正子 a、 b、 i を使えば、現在存在しているメンバー からの相対位置として、新たなファイルを追加する位置を指定することができ る。
この操作で修正子 v を用いると、挿入されるファイルを一行ずつ表示する。またこのとき a または r の文字を表示する。これはそれぞれファイルが追加 (append) された (つまり書庫には削除すべき古いメンバーが存在しなかった) か、置換 (replace) されたかに対応する。
files を指定しなければ、書庫にあるすべてのファイルがリストされる。
同じ名前のファイル (仮に fie とする) が書庫 (b.a とする) に二つ以上存在する場合には、 `ar t b.a fie' では最初のものしか表 示しない。すべての fie を表示させたい場合には、書庫のファイル全てを表示させるように実行しなけ ればならない (この例ならば `ar t b.a' となる)。
files を何も指定しないと、書庫のすべてのファイルが取り出される。
いくつかの修正子 ( mod ) を動作指定子 p に続けて指定することができる。 これによって動作を調整することができる。
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