AudioSystem.java
サービスプロバイダや API 実装者のために、Java Sound のソースコードの概要について説明します。
javax.sound.sampled.AudioSystem
は、ミキサーやラインといったリソースを取得するための JavaSound へのエントリポイントになります。AudioSystem
の各メソッドでは、MixerProvider[]
、FormatConversionProvider[]
、AudioFileReader[]
、AudioFileWriter[]
など、サービスのプロバイダが取得されます。次に、メソッドでは、特定の情報の取得や、特定のタスクが行われます。これらのメソッドの動作は、多くの点で類似しています。getMixerInfo()
の動作を見てみましょう。
次の図は、AudioSystem.java
の getMixerInfo()
の動作フローです。
AudioSystem
の getMixerInfo()
は、まず getMixerProviders()
を呼び出します。これは AudioSystem
の private static
メソッドです。getMixerProviders()
は、まず sun.misc.Service
のロードを試みます。例外がスローされた場合は、JRE 1.3 より前のバージョンが使用されており、サービスプロバイダのルックアップメカニズムがないことを示しています。例外がスローされると、sun.media.sound.DefaultServices
を使ってサービスプロバイダが取得されます (上の図には示されていません)。1.3 のメカニズムが備わっている場合は、上図のように getJDK13Serives()
が呼び出されます。このとき、引数として「javax.sound.sampled.spi.MixerProvider」
が指定されます。
getJDK13Services()
も、AudioSystem
の private static
メソッドです。このメソッドは、「com.sun.media.sound.JDK13Services」
のクラスのロードを試み、成功した場合は、このクラスを Class jdk13Services
に設定します。次に、やや技巧的ですが、Class.getMethod()
を使って jdk13Services
の getProviders()
メソッドを取得します。これは Method m
オブジェクトとして返されます。次に、このメソッドが呼び出され、その結果 JDK13Services
に対して getProviders(「javax.sound.sampled.spi.MixerProvider」)
が呼び出されます。ここでは、sun.misc.Service
の providers()
メソッドを使って、ミキサープロバイダのベクトル MixerProvider[]
が返されます。次に、このベクトルの各要素に対し MixerProvider
の getMixerInfo()
メソッドが呼び出されて、Mixer.info
が返されます。これは、すべてのミキサープロバイダの全ミキサーに関する情報です。
ほかのサービスも同様の仕組みで処理されます。たとえば、getTargetEncodings()
は getFormatConversionProviders()
を呼び出し、getAudioFileFormat()
は getAudioFileReaders()
を呼び出しますが、これらは getMixerProviders()
に類似した構造になっています。